物件を購入して得られる家賃収入に対して、発生する融資返済額の比率を返済比率と言います。返済比率は所有物件の安定的な経営を行う上で重要な数値です。この記事では僕の所有物件の返済比率を例に考えてみたいと思います。
返済比率とは?
返済比率とは「家賃収入に対する返済額の割合」のことで、以下の計算式で求めます。
年間のローン返済額÷満室時の年間の家賃収入×100=返済比率(%)
不動産投資によって得られる収入のうち、どれくらいの割合を金融機関へ返済しているかを示す値なので、これは毎月のローンでも計算式としては成り立ちますが、年間で計算した方が、より修繕等の計画が立てやすいです。簡単に言うと返済比率が低いほど、安定した不動産経営といえます。
また、実際のところ所有物件は、いつも満室であるとは限りません。常に満室状態で経営ができる方が稀です。そのため空室リスクがあることも考慮し、物件購入前に様々な経営状態を想定したシミュレーションをした方が良いといえます。
不動産投資の返済比率の目安
僕のような不動産投資初心者が目指すべき理想的な返済比率はいくらなのでしょうか? 一般的に目標とされる返済比率は、40%~50%と言われています。ただし、これは「家賃収入のうち半分が手元に残る」ということではなく、残りの50%~60%の手残りの中から、管理費、共用部電気水道費、浄化槽点検費、清掃費等の必要経費が差し引かれたり、また、空室がでた場合はさらに手残りがなくなります。
それでは僕の1棟目の収益物件で返済比率を計算してみたいと思います。
融資額:1,550万円 金利:2.4% 融資期間:15年
年間融資返済額:1,248,000円(月額104,000円×12カ月)
年間収入(満室時):2,580,000円(月額212,500円×12カ月)
返済比率:48.4%(1,248,000円÷2,580,000円×100)
目標と言われている40~50%の中にはギリギリ入ってる感じです。。。返済比率が高くなると、年間の収入に対して返済の割合が大きくなり、融資を受けづらくなる可能性もあると思います。金融機関が求めるのは安定した経営です。
返済比率が下がるとキャッシュフローはこう改善する
また詳しくご紹介しますが、現在、僕の1棟目収益物件の年間経費は概ね家賃収入の20%で、その額は51.6万円です。
ということで、現在返済比率48.4%の僕のキャッシュフローは
家賃収入:258万円 経費:51.6万円 返済額:124.8万円
キャッシュフロー年額:81.6万円 (258万円 − 51.6万円 − 124.8万円)
これが、返済比率35%になると
家賃収入:258万円 経費:51.6万円 返済額:77.4万円
キャッシュフロー年額:129万円 (258万円 − 51.6万円 − 77.4万円)
この返済比率だと月当たり10万円以上のキャッシュがたまり、空室リスクや少々大きめの修繕にも対応できるようになり、より安定した経営が可能になると言えます。
返済比率が高いとどうなるか
僕が早く借入金を返済したいがために、融資期間を短くし、仮に返済比率が70%になったとすると、
家賃収入:258万円 経費:51.6万円 返済額:180.6万円
キャッシュフロー年額:25.8万円 (258万円 − 51.6万円 − 180.6万円)
こうなると、仮に満室経営を続けられたとしても、手元に残るキャッシュが少なすぎです。このことによって、予想外の修繕に対応できなくなったり、空室リスクにも対応できなくなり、ちょっとしたことで経営が赤字転落してしまいます。
返済比率は安定経営をしたいからといって、自分の意思でコントロールして下げることはできません。当初購入する際にしっかりとシュミレーションしておくことが大切だと思います。融資を受ける際、自己資金を多く投入すれば返済合計額が減り、返済比率を下げることができますが、それでは手元の自己資金が減ってしまい、効率的な投資とは言えません。
家賃収入が高く、それでいて価格が安い物件なら、フルローンで借り入れをしても返済比率を低く抑えることはできますが、そんな物件にはほとんど遭遇することはありません。
返済比率はその時々の投資方針によって変わる
適切な返済比率というのは、購入時点で置かれているステージ、購入しようとする物件、不動産市況などによって大きく変わってきます。まだ不動産投資をしたことがない人は、融資期間をなるべく延ばしてキャッシュをあげることが重要だと思っています。当然、当初からキャッシュにある程度の余裕がある状態であれば、はじめから自己資金を多めに投入して返済比率を下げることはできますが、僕のようにキャッシュが余りない状態で不動産投資に参入した場合は、なおさら長く融資期間をとることが経営リスクを減らせると考えています。
また、返済比率が心配な場合は、途中、借り換えや一部繰り上げ返済をすることで、徐々に返済比率を下げていくという方法もあります。